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写真: Alexander Holmes(Unsplash)

エッセイ

週休3日制のエビデンスは何を示しているか

2026年9月21日9 分

週休3日制とは、給与を減らさずに、週の労働時間を1日分ほど減らすことです。同じ時間を4日に詰め込む圧縮勤務のことではありません。時間そのものを減らして、給与は据え置きます。アイスランド、英国、アイルランド、米国などで試行が行われ、結果はおおむね同じ方向を向いています。燃え尽きは減り、成果は落ちません。これは本物の結果です。同時に、見出しから受ける印象よりはずっと薄い証拠でもあります。試行に参加した企業は、ほぼすべて自分から手を挙げた企業だからです。

この文章では、証拠が支えていることと支えていないことを分けます。そのうえで、生産性とは別のところにある論点を書きます。

日本はすでに制度に書き込んでいる

英語圏の議論では見落とされがちですが、日本政府はこの話を早い段階で公式文書に入れています。

2021年6月18日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」に、選択的週休3日制度が入りました。原文はこうです。「選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る」(内閣府 2021)。

政府が空いた一日の用途として挙げたのは、育児、介護、ボランティア、地方での兼業でした。休養とも生産性とも書いていません。

この一文が何をしていないかも書いておきます。閣議決定は何も義務づけていません。好事例を集めて提供し、企業に導入を促す、と書いてあるだけです。国が持てる手段のなかでは、いちばん弱いものです。ただ、この制度に公式の名前が付いたことで、以後の自治体の取り組みは参照先を持てるようになりました。

東京都は自分自身に適用しました。2025年2月12日、都は職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例の改正案を都議会に提出し、フレックスタイム制を活用した週休3日を2025年4月1日から導入すると発表しています(東京都 2025)。都は、民間に求める前に自分の職員から始めた形です。

いちばん大きな研究

証拠として最も強いのは、2025年に『Nature Human Behaviour』に載ったWen Fan、Juliet Schor、Orla Kelly、Guolin Guの論文です。オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国、米国の141組織、2,896人の従業員から、試行の前後のデータを集めました。各組織はまず自分たちの仕事を組み替え、そのうえで給与を下げずに6か月の週休3日を実施しています(Fan, Schor, Kelly & Gu 2025)。

燃え尽きは減り、仕事の満足度は上がり、心身の健康の自己評価はどちらも改善しました。週5日のまま推移した対照12社では、同じ変化は現れていません。効果の大部分は、睡眠の問題が減ったことと疲労が減ったことで説明できました。自分は仕事をこなせるという実感の高まりも、同じ経路に入っています。

効果を運んでいたのは疲労の減少でした。よく眠れて疲れが抜けた人が、仕事をこなせると感じ、健康の自己評価も上げています。

英国とアイスランド

英国の試行は2022年6月から12月まで行われました。61組織、およそ2,900人が参加し、ボストンカレッジ、ケンブリッジ大学、Autonomyの研究者が調査しています。報告書は2023年2月に出ました(Autonomy 2023)。回答した組織の売上は6か月で平均1.4%増え、離職は57%減り、従業員の71%が燃え尽きの軽減を報告しました。終了後、61組織のうち56組織が継続し、18組織が恒久化を表明しています。

売上の数字は、控えめに読むのが正しいと思います。働く時間を減らせば会社が儲かるという話ではありません。予定していた労働時間の2割を手放しても、業績はほぼ動かなかった、というだけの話です。小さい主張ですが、こちらは検証に耐えます。

アイスランドは性質が違います。2015年から2019年にかけて、レイキャビク市と国が、公共部門のおよそ2,500人について週40時間を35〜36時間に減らしました。給与は据え置きです。これは同国の労働人口の1%を超え、対象は病院、保育施設、役所、福祉の現場でした(Alda & Autonomy 2021)。生産性とサービスの水準は大半の職場で維持または改善し、市と国の双方にとって収支は中立でした。労働組合はこの結果を全国の賃金交渉に持ち込み、いまでは労働力の86%が労働時間を短縮したか、短縮を求める権利を得ています。

証拠が支えていないこと

ここまでの試行は、すべて参加を希望した組織で行われました。自分から手を挙げる会社は、たいてい余力があると自覚している会社です。経営陣は成功を望んでおり、働く人もうまくいったと答えやすい。これは選択のかたよりで、小さな問題ではありません。対照群があるのは2025年の論文だけで、それも12社です。

結果の多くは自己申告です。燃え尽き、睡眠、仕事をこなす力、満足度は、同じ人が自分について二度答えたものです。6か月は短い期間です。そして試行前の業務の組み替えが介入に含まれているため、労働時間を減らした効果と、無駄な会議をようやくやめた効果を、まだ切り分けられません。

正確に言えることは狭いものです。事前に準備をした、自ら参加を選んだホワイトカラー中心の組織では、週を1日短くしても6か月のあいだ成果は目に見えて落ちず、働く人の状態は改善しました。知る価値のある結果です。国全体で可能だという証明ではありませんし、病棟や倉庫や農場については、ほとんど何も語っていません。

もう一つ、誰に配られるかという問題があります。週休3日を実施できるのは、産出が機械や病棟や営業時間に縛られていない組織です。ソフトウェアの会社は金曜日をなくせます。病棟はなくせません。金曜日にも患者はいます。一日閉める店は、一日分の商いを失います。つまりこの制度を提示されやすいのは、すでにいくらか余裕のある人たちです。シフト勤務、時給、介護の現場で働く、余裕のいちばん少ない人たちは、順番の最後になります。この議論を誠実にやるなら、そこは声に出して言う必要があります。

ケインズが残した宿題

週休3日制について書かれたものの大半は、財務担当役員との議論です。成果は保てるのか、売上は落ちないのか、費用は払えるのか。1930年、ジョン・メイナード・ケインズは別のことを考えていました。100年後には週15時間労働になるだろうと予測し、そのうえで、空いた時間のほうが難しい問題になると書いています(Keynes 1930)。富はおおむね彼の予想どおりに増えました。労働時間はそこまで減りませんでした。その配当がどこへ消えたかは、ケインズが約束したもので詳しく書いています。

週休3日制は、その配当の一部をモノではなく時間として受け取ろうとする、数十年ぶりのまとまった試みです。売上の数字がどう出ようと、そこは見る価値があります。

時間は、社会が個人に手渡せるいちばん安い余裕でもあります。所得の土台をつくるには、税制を動かし、政治を通し、何年もかけることになります。水曜日の一時間を返すほうは、勤務表を書き直せば済みます。貯えがなく、来月の見通しも立たない人に、欲しがらずもっと眠れとは言えません。やりくりする余裕がそもそもないからです(息をつく余裕)。一日は、かなりの余白です。しかも一つの会社が、一つの四半期で渡せます。

その一日を何に使うか

週休3日制は、ものさしではありません。人生が何のためにあるかは教えてくれません。返ってくるのは金曜日で、その金曜日はゴルフ場にも、副業にも、ほかに訪ねる人のいない誰かとの午後にも使えます。制度はどれを選ぶかを決めません。

この分野の文書のなかで、用途に立場を示したのは閣議決定だけでした。閣議決定は用途として育児と介護を挙げ、そのあとにボランティアを置いています。財政の文書に、社会が何を大切にするかについての立場が書き込まれた箇所です。

資本主義は残り、富を生み続けます。社会が何を称えるかは別の問いで、たいていの場合、誰も意識して答えていません。週休3日制が広がって、空いた一日がすべて消費に向かうなら、私たちはいくらかの休息を買っただけで、ほかは何も変わりません。その一部でも周りの人に向かうなら、別のことが起きます。どの試行もそれを拾いません。測っていないからです。

参考文献

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